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【解説】 コードの名前 その2
ややこしいコードの筆頭は ナインス と呼ばれるコードです。読んで字のごとく、9つ目の音を追加するという意味で、セブンスの延長線上にあるコードだと考えることができます。具体的にはこういうコードを指すのですが、こうやって和音が5になると、さすがにぱっと見た感じややこしくなりますし、実際に楽譜上でおたまじゃくしをかくとぐちゃぐちゃになっています。ただし、考え方はシンプルで、セブンス (メジャー・セブンスではなく、ただのセブンスのほう) の半音4つ上に音を重ねたものをナインスと言います。ナインスについてはマイナーもメジャーもなくて、このようにセブンスに音を足すだけで、ナインスの響きが得られます。ついマイナー・ナインスと呼びたくなるようなこういうコードには、フラッティド・ナインス (ナインスにフラットをかける = 半音下げる) という意味のコード名が当てられますが、ほとんど登場しないので知らんぷりしておきましょう。
ナインスというのはこのようにセブンスが成立していて、そこに音を加えるというのが本来の定義なのですが、はじめに言ったように音がぐちゃっとややこしくなるので、セブンスの音を省いて使われることのほうが多いと思います。そのコードがこれで、この音は、 「基本は白鍵」 の動画でサンプル曲として登場した 「TRUE LOVE / 藤井フミヤ」 のイントロのあのギターの音なんですが、こういうコードは特別に 「アド・ナインス」 と呼ばれていて、このコードは 「C・アド・ナインス」 です。 「アド」 は英語の 「add」 で、要するに 「9番目だけを付け加える」 というようなニュアンスです。なので、覚え方としては、セブンスの4つ上というよりも、ルート音の半音2つ上だと覚えたほうが簡単ですし、実際にはこのようにルート音のすぐ上につけることが多い (1オクターブ上ではなくて) ので、感覚としてもルートの2つ上という感覚のほうが正しい気がします。
ディミニッシュ・コード
次に紹介する変なコード(?)は、ディミニッシュ diminish で、これは 「3 - 3」 で構成される和音 です。弾いてみるとすぐわかりますが、マイナー・コードの上の音をさらに半音ひとつ下げるとできるコードで、妙な響きのコードです。じつはディミニッシュは正確にはトライアドではなくて、もうひとつ音を足さないといけないんですが、それが3つ目の音のさらに半音3つ上の音で、結果的に 「3 - 3 - 3」 という何やらおめでたい感じのコードになります。で、実はこのディミニッシュを作っていると気づくのですが、 「3 - 3 - 3」 の上にさらに半音3つを足すと、ルート音に戻ります (この場合はC)。つまり、Cディミニッシュ(表記は Cdim )は、E♭ディミニッシュであり、G♭ディミニッシュでもあり、Aディミニッシュでもあることになります。このように、コードの世界では、同じ構成音なのに、呼び方が違うコードというのがときどき登場します。
結局、1オクターブの中に鍵盤は12個しかないわけで、コードっていうのは、その12個の鍵盤を色々と組み合わせているうちにたまたま同じものができてしまう・・・ような、結構狭~い世界だっていうことですね、はい。
ディミニッシュは、読み方も構成も変なコードですが、意外と頻繁に登場するので無視できないため、ここで紹介しました。
オーギュメント・コード
次は オーギュメント。立場的にはディミニッシュの親戚みたいなもので、ディミニッシュが 「3 - 3」 だったのに対し、オーギュメントは 「4 - 4」 で、例えば Cオーギュメント (表記は Caug ) はこういう響きになります。これも一見マニアックですが、ちょくちょく登場するので覚えてください。カーペンターズの 「Yesterday Once More」 でもこういう感じで登場しています。
実演。 ※動画を参考にして下さい。
サス・フォー・コード
次は サス・フォー (表記は sus4 )。これは 「5 - 2」 で押さえるコードで、こういう音です。変わった音ですが、見た目的にはメジャー・コードの真ん中の音を半音上げる形なので、覚えやすいです。しかもこのコードには、 「直後にメジャー・コードに戻る」 という習性(?)があるので、実際に聞いてみると、 「あーあー、あるねえ」 とピンとくると思います。演奏動画の 「奏 (かなで) / スキマスイッチ」 でもこんな感じで頻出しています。
実演。 ※動画を参考にして下さい。
「Csus4 のあとには C あり」 っていう方程式が成り立ちますね。
フラッティド・コード と シャープド・コード
では最後に、今まで何度か登場しながらスルーされてきたコード 「シ・レ・ファ・ラ」 の話をします。
実演。 ※動画を参考にして下さい。
これはCメジャーのダイアトニック・コードで、ルートがBの、4つの音でできた和音。これは一体何なのかというと、まずトライアドで考えると、音の構成が 「3 - 3」 なので、ディミニッシュかな・・・と思いきや、そのあとに続く音が4つ上なので、 「3 - 3 - 3」 のディミニッシュとは違います。結論から言うと、これは 「Bマイナー・セブンス・フラッティド・フィフス」 (表記は Bm7♭5)というコードで、ややこしいですが、実は読んだままで、まず Bマイナー・セブンス を作って、それの5度の音 (僕は3番目の音と呼んでいますが) を フラット(=半音下げ) した という意味のコードです。このように、コードの中には 「フラッティド何とか」 とか 「シャープド何とか」 という一時的に音を半音ずらしたものもあります。登場する機会はそう多くありませんが、出てくるときにはわんさか出てきて 「ほかにもっと簡単な書き方ないのか!」 と思わず言いそうになりますが、そこはひとつ冷静に 「どれを半音ずらすか」 ということを読み取って、鍵盤を押さえるようにしてください。
まとめ
以上、登場機会が1割以下の妙なコードについて解説しましたが、この知識があれば、世の中のほとんどすべてのコードに対応できます。
動画の中で 1割 と言いましたが、実際には 2割 くらいかもしれません。・・・いい加減なこと言ってます、すいません。
はじめはコード・ネームを見て、 「えっと・・・ 3 - 4 のあと、4 だから・・・」 と鍵盤の数を数える時間が多いと思いますが、何度もそうやってコードの押さえ方を考えているうちに、自然とコードが押さえられるようになります。とにかくまずは、トライアドとセブンスをマスターして、その他のややこしいコードについては、出てきたときにちょっと立ち止まって考える・・・ ようなやり方でコードに馴染んでいけば、上達は早いと思います。
それでは次は、コードの構成音を重ねる順番を変える 「転回形」 のお話をしたいと思います。